日本漢文の世界

 

英傑の遺墨が語る日本の近代



浅野総一郎(攻詡) 五言律詩の前半部分(唐詩)
あさの・そういちろう(こうく)


1848-1930。実業家。浅野財閥を創設。

浅野総一郎 五言律詩 日本漢文の世界 kambun.jp

[解読]

春山多勝事
賞翫夜忘帰(韻)
掬水月在手
弄花香満衣(韻)
(五言律詩の前半部分。平声微韻)
    攻詡書

[訓読]

春山(しゅんざん)勝事(しょうじ)(おお)
賞翫(しょうがん)して(よる)(かえ)るを(わす)
(みず)(きく)すれば(つき)()()
(はな)(もてあそ)べば()(ころも)()
    攻詡(こうく)(しょ)

[語釈]

春山(しゅんざん)
 春の山。

勝事(しょうじ)
 とても楽しいこと。

賞翫(しょうがん)
 楽しみ味わうこと。

(きく)
 両手で水をすくうこと。

[訳]

春の山は楽しいことが多い。
楽しんで、夜になっても帰ることを忘れている。
水を手に掬い取ると、手の中の水に月が映っている。
花をもてあそんでいると、花の香が衣服に満ち溢れてくる。
            攻詡が書いた

[出典]

唐代の詩人・于良史の『春山夜月』詩

2009年9月6日公開。2009年9月10日修正。

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