日本漢文の世界:本の紹介

書名 江戸の詩壇ジャーナリズム
副題 『五山堂詩話』の世界
シリーズ名 角川叢書19
著者 揖斐 高(いび たかし)
出版社 角川書店
出版年次 平成13年(2001年)
ISBN 4-04-702119-9
定価 3,000円
著者の紹介 著者(1946-)は成蹊大学教授。『江戸詩歌論』(汲古書院)、『遊人の抒情 柏木如亭』(岩波書店)、『江戸幕府と儒学者』(中公新書)などの著書があります。
本の内容:

江戸の詩壇ジャーナリズム―『五山堂詩話』の世界 (角川叢書)

 わが国で商業ジャーナリズムとして成功した最初のものは、意外なことに、漢詩の批評を載せた年刊誌『五山堂詩話』でした。『五山堂詩話』の当初の目的は、当時流行の清新性霊派の詩風を宣伝することでしたが、著者菊地五山の卓越した批評により、次第に批評誌として権威が確立します。五山は、地方の詩人たちの詩や、身分の低い人たちの詩を積極的に顕彰する一方、大家と言われる人たちの詩でも、よくないと見れば容赦なく批判します。新人の発掘にも積極的で、無名時代の頼山陽、中島棕隠らも『五山堂詩話』で激賞され、それを大いに励みにしたのです。
 『五山堂詩話』の名声が高まるにつれ、菊地五山は、詩人たちから掲載料を徴収し、出版社からも利益を得て、それを続刊の刊行費や生活費に充てることができるようになりました。商業ジャーナリズムが成立したのです。ところが順調に刊行を続けていた『五山堂詩話』は「儒者番付騒動」という、これもまたジャーナリズムによるスキャンダルに巻きこまれて休刊を余儀なくされるのです。
 本書は『五山堂詩話』の著者、菊池五山や彼をめぐる人びと、詩話に載った詩を紹介しています。詩人以外でも、大田南畝、木村蒹葭堂、渡辺崋山など、多くの文化人が登場しています。
 『五山堂詩話』は、全10巻、補遺5巻の全15巻です。有名な書物ですが、残念なことに、岩波の古典大系(校注者は本書の著者、揖斐先生)に入っているのは巻一・巻二の部分だけです。一般読者が『五山堂詩話』全編を読むことは困難なのが現状だといえます。本書により『五山堂詩話』を手に取って読んでみたい人が増え、全巻の注釈書が出版されるようになることを期待しています。

江戸の詩壇ジャーナリズム―『五山堂詩話』の世界 (角川叢書)
2002年8月31日公開。

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