日本漢文の世界:本の紹介

書名 自由学問都市大坂
副題 懐徳堂と日本的理性の誕生
シリーズ名 講談社選書メチエ232
著者 宮川 康子(みやがわ やすこ)
出版社 講談社
出版年次 平成14年(2002年)
ISBN 4-06-258232-5
定価 1,500円
著者の紹介 著者(1953-)は、京都産業大学助教授。一貫して懐徳堂の研究をしておられる方です。著書に『富永仲基と懐徳堂』(ぺりかん社)があります。
本の内容:

自由学問都市大坂―懐徳堂と日本的理性の誕生 (講談社選書メチエ)

 本書は、町人の町である大坂で、町人たちが設立した学校、懐徳堂を中心に、きわめて自由な精神で展開されていた学問の様子を、富永仲基、中井竹山・履軒兄弟、山片蟠桃を中心に描いています。
 懐徳堂の学問は朱子学を基本としつつも、歴史、天文、医学など広い範囲で展開していきます。それは自ら真理を見出そうとする学問精神に基づくものでした。その到達点が、山片蟠桃の『夢の代』なのです。山片蟠桃は、升屋の番頭として、当時危機的状況にあった仙台藩の財政を立て直すなど、商人としても天才的な活躍をした人です。蟠桃は商業活動のかたわら、懐徳堂の中井兄弟に師事し、中井兄弟と親しかった大天文学者、麻田剛立からも最新の天文学の知識を得ます。彼の著書『夢の代』は、それらの知識から敷衍された、それまでにない独創的な著作でした。わが国ではじめて地動説を主張したのも『夢の代』です。
 しかし、中井兄弟や山片蟠桃の没後、後継者に人材を得なかった懐徳堂は衰微してゆき、時代は洋学一辺倒になってきます。このころ、懐徳堂から100メートルほどのところに緒方洪庵の適塾が作られます。洋学では原書を読みこなすことが中心で、懐徳堂の人びとが追求してきた、自ら真理を追求する態度は、継承されませんでした。かくして自由学問都市としての大坂は終焉を迎えるのです。

自由学問都市大坂―懐徳堂と日本的理性の誕生 (講談社選書メチエ)
2002年8月31日公開。

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