書名 | 評伝 佐久間象山(上)(下) |
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副題 | |
シリーズ名 | 中公叢書 |
著者 | 松本 健一(まつもと けんいち) |
出版社 | 中央公論新社 |
出版年次 | 平成12年(2000年) |
ISBN | 9784120030543(上) 9784120030550(下) 文庫版:9784122060685(上) 文庫版:9784122060692 |
定価(税抜) | 叢書版:各1,850円 文庫版:各1,200円 |
著者の紹介 | 著者(1946-2014)は、評論家として、わが国の政治・経済のあり方について、積極的に発言されています。また、幕末・明治期の政治史を研究されており、本書もその一環として、雑誌連載という形で執筆されたものです。麗澤大学教授。 |
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本の内容:
佐久間象山は、漢学に限らず、洋学にも詳しく、西洋砲術等の実学にも当代第一でした。また、アヘン戦争を見て危機感をもち、ペリーが浦賀へ来た時点で明確なナショナリズムを提示できた唯一の思想家でした。幕末という「非常の時」において、しっかりと日本国家の歩むべき道を見通すことのできた「非常の才」をもつ人傑だったのです。本書は、膨大な史料を駆使しながら、象山の人物、思想に迫っていきます。 象山ははじめ朱子学者として一家をなしますが、蘭学の必要を感ずるや、果然蘭学を学び、たちまち習得するばかりでなく、蘭書にもとづいて各種の実験等を行い、機器を実作します。日本の国の独立を守るには、「夷の術を以って夷を制する」しかないため、それを学び切ろうとしたのです。象山の開国論も「夷の術を以って夷を制する」真の攘夷、すなわちナショナリズムから出たものだったのです。 弟子・吉田松陰の下田踏海(密航)に連座して、十年におよぶ謹慎生活を余儀なくされた中でも、屈することなく国のことを考えつづけた象山は、その後情勢が変わり幕府の招聘に応じて京都へ行き、実際的政治活動に携わろうとした矢先、長州系の刺客団に暗殺されてしまいます。しかし、維新以後わが国の歩んだ道は、すべて象山の主張に沿ったものだったのです。 この本を読むと象山の「絶代の豪傑」ぶりが伝わってきます。史料に基づきつつ、大胆な推論を下す著者の力量も相当なものです。上下あわせて600ページを超える大冊ですが、あっという間に読めてしまいます。 | |
2002年8月31日公開。2015年8月22日一部追加。 |