書名 | 電脳社会の日本語 |
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副題 | |
シリーズ名 | 文春新書094 |
著者 | 加藤 弘一(かとう こういち) |
出版社 | 文藝春秋 |
出版年次 | 平成12年(2000年) |
ISBN | 9784166600946 |
定価(税抜) | 710円 |
著者の紹介 | 著者(1954-)は、文芸批評家で、石川淳と安部公房の研究をライフワークとされているそうです。 「ほら貝(http://www.horagai.com/)」という有名な文芸サイトを運営しておられ、文字コードについても発言されています。 |
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本の内容: 題名だけみると、「文章読本」の一種みたいです。ところが、これはコンピュータで日本語を表示するための文字コード、なかでも「ユニコード」についての本なのです。「文字コードについて」くらいの副題があったほうが検索しやすくてよいのでは、などとつい老婆心が出てしまいますが、そんな必要がないくらい、文字コード問題では有名な本です。 現在インターネットで使用される日本語の文字コードは、ほとんどが「シフトJIS」です。そこへ、90年代に「ユニコード」が出現しました。ユニコードの特徴は、漢字を2万字ほど扱えることです。「シフトJIS」では6千ほどの漢字しか扱えなかったことを考えると、格段の違いです。実は、私のサイトでも、このユニコードを使用しています。私が漢文のサイトをつくろうと思ったのも、ユニコードがUTF-8という形で、インターネット上で実用化されていたからなのです。 この本では、ユニコードの成立過程を詳しくのべています。ユニコードは、もともとアメリカのコンピュータ企業数社が開発していた私的な文字コードでした。これらの米企業は、「ユニコード・コンソーシアム」を結成し、自分達の世界戦略によって、強引にユニコードを文字コードの世界規格に昇格させてしまいます。コード化の最大の懸案である漢字は、2万字程度に抑えこもうとし、日・中・韓の似ている字形の字を、強引に同一コードで定義しました。それで、同じコードなのに中国のフォントでは簡体字、日本のフォントでは当用漢字、台湾のフォントでは繁体字になるというおかしなことになりました。現在でもユニコードはこの当初の過ちをひきずっています。結局、日・中・韓の強い要求で漢字の異体字やハングルが大幅に追加されることになったので、当初の漢字統合はまったく無意味になったばかりか、上記のような負の遺産が残ることになったのです。米企業の強引なやりかたのつけです。 この本は、決して読みやすい本ではありません。ところどころ非常に難解な箇所もあります。しかし、今日の文字コード問題について知るには、おそらくもっとも良い本だと思います。 | |
2002年2月24日公開。 |