日本漢文の世界:本の紹介

書名 南城先生の越後奇談
副題 『啜茗談柄』訳注
シリーズ名  
著者 郷 直人(ごう なおと)
長谷川 潤治(はせがわ じゅんじ)
福原 国郎(ふくはら くにお)
村山 敬三(むらやま けいぞう)  
           共編
出版社 汲古書院
出版年次 平成13年(2001年)
ISBN 4-7629-9543-6
定価 2,000円
著者の紹介 4人の方がた全員が新潟県立高校の先生です。序文および後記によると、この4人の方がたの主催する勉強会に内山知也先生が招かれたとき、内山先生が郷里の先学である藍沢南城先生の業績について語ったそうです。これが契機となって、この4人の方がたによる藍沢南城共同研究が始まり、6年後に本書出版が成ったということです。
本の内容:

南城先生の越後奇談―『啜茗談柄』訳注

 越後の漢学者、藍沢南城先生(1792-1860)は、越後の南条(新潟県柏崎市内にあります)で、私塾「三餘堂」を開いていました。南城先生は、塾生たちが遊びに心を奪われるのを恐れ、休日ごとに彼らを集めて郷里の奇談を語らせ、それを漢文で記録しました。その中から18篇を選んで編んだのが本書の原本『啜茗談柄(茶のみ話)』なのです。
 本書の構成は、普通の注釈書とは少し異なっており、現代語訳をいちばん前に置き、次に原文・書き下し文・注釈という順になっています。これら(とくに注釈)は大変な労作ですが、現代語訳もよくこなれた名訳で、現代語訳だけを読んでも、十分面白い読みものになっています。写本しか存在しなかった『啜茗談柄』を、このような読みやすい形にまとめて出版されたことは、まことにすばらしいことです。私も本書によってはじめて南城先生の著作に接することができ、非常に感激しています。
 南城先生は『虞初新誌』にならって本書を作りました。内容は、うわばみ、大蜘蛛、大ねずみなどの化け物の話や、竜の話、酒顛童子の話など、志怪物が中心で、『聊斎志異』愛好者のかたがた(最近増えているらしい)は、きっと楽しめると思います。文章も、書きぶりが面白く、親しめます。水滸伝をまねて白話体で書かれた作品まであります。
 さて、南城先生は、収集した奇談を事実であると信じていました。それで、中国の古典を引用して、うんざりするほど長い考証を加えたりもします。現代の読者には蛇足としか思えない部分もありますが、これはフォークロア(民間伝承)採集者として、ひとつの態度であると言うこともできます。奇談を事実と考える態度が、本書をより面白いものにしていることは確かです。

南城先生の越後奇談―『啜茗談柄』訳注
2002年8月31日公開。

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