日本漢文の世界


鍛工助弘傳語釈

鍛工(たんこう)

鍛冶屋のこと。

越前守(ゑちぜんのかみ)

刀鍛冶の屋号として、名のっていたもので、越前国(福井県)とは無関係。

刀剣(たうけん)鎗矛(しやうぼう)(ろん)()

刀といわず、つるぎ(両刃のまっすぐな刀)といわず、やりといわず、ほこといわず、どれをとっても。

昆刀(こんたう)

周の穆王は、「昆吾の剣」をもっていて、それで玉を切ると、泥を切るように切れた(列子湯問第五、第十七章)。助広の刀の切れ味は、それにも譬えられるほどだった。 

赤穂(あかほ)

兵庫県赤穂市。製塩と「赤穂浪士」で有名な町。

城主(じやうしゆ)

江戸時代の大名のこと。(ほんらい「城」とは、城壁をめぐらした街のこと。わが国では「しろ」の意味。)

(くわい)

多人数で会うこと。

佩刀(はいたう)

腰に佩(お)びている刀。

郷貫(きやうくわん)

刀の産地。

甄別(けんべつ)

はっきりと区別すること。

相州(さうしう)

相模(さがみ)の国。ここでは、相模の国の名工、正宗の流派の作。

備前(びぜん)

備前は岡山南東部。備前の国は、平安の昔から刀作りが盛んであり、多くの名工を輩出した。

不武(ふぶ)

武士らしくないこと。武士たるものは、刀に心を用いるのは当然のたしなみであった。

(ふく)

恨みに思うこと。 

辭色(じしよく)

ことばや顔色。 

亡状(ばうじやう)

無礼な振る舞い。

切齒(せつし)

くやしさのあまり、歯をくいしばること。「切歯扼腕(歯をくいしばり、腕をにぎりしめる)」という四字熟語で使用されることが多い。

老奴(らうど)

これは、大野九郎兵衛をさげすんで言っている語。 

結束(けつそく)

旅の支度をすること。 

草行(さうかう)露宿(ろしゆく)

草をかきわけ、野宿しながら旅をすること。

浪華(なには)片町(かたまち)

片町は、現在の大阪市都島区、京橋の近くにある。浪華とは大阪のこと。

近江(あふみ)

近江守(おうみのかみ)と称した刀工、津田助直のこと。大阪堀川派の大御所であった。

攝州(せつしう)

摂津の国。大阪府と兵庫県にまたがる。

彷徨(はうくわう)

うろつくこと。

門子(もんし)

門弟子のこと。(住み込みの)弟子。

辭氣(じき)激切(げきせつ)

ことばつきが非常にはげしいこと。

素望(そばう)

平素から抱いている志望。

操作(さうさ)(いとま)

仕事の合間。

一意(いちい)

心を集中すること。

(をさ)

研究すること。

丁丁(たうたう)

「タウタウ zhēng zhēng」と読み、木を切る音や、碁や琴など、ものを打つ音の形容として使う。なお、「テイテイ dīng dīng」と読むと、雨の降る音になる。

枕函(まくらばこ)

下が箱のようになって、小物を入れられる枕のこと。「枕箱」(チンシヤウ zhĕn xiāng)ともいう。

毀言(きげん)

悪口。そしることば。

從容(しようよう)

ゆったりとして、落ち着いているさま。

提命(ていめい)

親切に教えること。「提耳面命」の略。「提耳」は、両手で耳をもって諭すこと。「面命」は、顔を向かい合わせて、事実を示して教えること。(詩経大雅抑篇)

(さん)裘葛(きうかつ)

三年ということ。「裘」は冬の皮衣、「葛」は夏の麻衣で、「裘葛」を一年の意に用いる。(韓非子五蠧第四十九)

一臂(いつぴ)()

片腕を借りる、つまり、手伝ってもらうということ。

寸鐵(すんてつ)

小さな刃物。

首肯(しゆこう)

うなずいて、同意すること。

齋戒(さいかい)

物忌みをすること。飲食を慎み、身を清める。

(けい)

といし(砥石)のこと。

嗟稱(さしよう)

感嘆して、ほめちぎること。

東下(とうか)

東へ行くこと。小野寺十内は、京都留守居という役で、京都にいたため、大阪からは東に行くことになる。

下奴(かど)

自分を謙譲していう語。

洗雪(せんせつ)

恥をすすぐこと。

(かたち)(うご)かす

居ずまいを正すこと。

坐臥(ざぐわ)

日常ずっと。坐はすわること、臥はねること。

佩服(はいふく)

身に付けること。

報仇(はうきう)(こと)

赤穂義士の討ち入りの事件。

(けい)(はつ)するが(ごと)

たったいま、砥石にかけたばかりのようだ。(荘子養生主第三)

眇然(べうぜん)

小さいこと。

三尺(さんじやく)

剣のこと。漢の高祖が、三尺のつるぎをひっさげて天下を取ったことから。

鐵心(てつしん)石膓(せきちやう)

鉄や石のように、非常に堅固な精神をもっていること。

2001年8月5日公開。